おはようございます。
今朝はワックスの話です。
ワックスが解ける温度について実験をしました。
かなりマニアックで、専門用語がたくさん出てきます。
結論だけ読んでいただければ満足です。
【スノーボード】ワックスの話:溶ける温度って何度?
結論
100℃程度で十分溶解するようです。
また、160℃以上にするとワックスの一部が蒸発してしまうようなので、記載通り120℃以下で使うようにしましょう。
実験の内容と目的
ガリウムエクストラベースピンクのワックスの推奨温度は120℃以下です。
実際に検証するために熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を使って実験をしました。
熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)とは?
温度を上げていくことで物質に起こる変化を知ることができる装置です。
重さの変化とエネルギーの変化がわかります。
重さの変化は含まれている水や物質の蒸発によって減少することがあります。
今回は測定時に窒素を封じ込めているので酸化することはなく、重量の増加は基本的には起こりません。
エネルギーの変化は物質が吸熱しているか、発熱しているかがわかります。
物質は大抵溶解するときに吸熱をします。
吸熱した温度が融点付近となります。
実験
ワックス10mgを取って20℃から200℃の変化を確認した。
結果
下の図が結果となります。
グラフのx軸が温度です。
右に行くほど温度が上がります。
y軸は重さの変化とエネルギーの変化を表しています。
緑色の線が重さの変化で、青色がエネルギーの変化です。
緑色の線は一度上がって160℃付近から下がり始めています。
窒素に雰囲気を置換しているので重量が増える理由が窒素の付着ぐらいしかいないのですが、基本的にそれは起こりません。
多分、安定していなかったのだと思います。
162℃から重さが減少しています。
これは、物質内の何かが蒸発していることを示しています。
蒸発し始めている温度が100℃以上なので、水ではありません。
純物質ではないですし、成分もわからないので、明確に何が飛んでいるかはわかりません。
ただ、この160℃以上に熱すると元の物質に戻らなくなるということがこのグラフからわかります。
青色の線は34.3℃と56.2℃に谷があります。
谷になる場合と山になる場合があります。
谷になると吸熱で、山になると発熱することを。
吸熱は周りの熱を奪うこと、発熱は周りに熱を与えることです。
34.3℃と56.2℃のどちらかで溶けていることになります。
おそらく56.2℃あたりで溶けて、谷が終わる70~80℃あたりで全て溶け終わったのだと思います。
100℃付近でグラフの揺らぎがあるのでここら辺でも少し変化はあるように思います。
カメラとかがついていたらよくわかるんですけどね。
おまけの実験
ついでにX線回折パターンもとってみました。
下の図が結果になります。
非晶質体なのかなと思っていましたが、違うようで回折ピークが得られました。
自分の専門は高分子ではないので何とも言えません。
見た感じパラフィンとかそれっぽい感じのチャートになったと思います。
まあこれも、単体ではないので結論づけるのは難しいんですけどね。
まとめ
しかし、100℃付近に揺らぎがみられるので110℃あたりまで温めたほうが、均一に溶けると思います。
また、160℃以上で重量減少がみられるのでそれ以上の温度で使うことは控えたほうがいいです。
要するに、ラベルどおり120℃以下で使えば、なんの問題ありません。
今回は完全に自分の好奇心を満たすための記事です。
バイオレットやブルーもあるので測定してみたいですね。
多分、そのうちやると思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。